シニア世代の認知症予防が生み出す好循環

働く意欲の高いシニア世代にとって、認知症予防は関心の高い話題の一つです。
企業が全力をあげて認知症の予防に取り組むことは、働く側だけでなく、企業様・社会にとっても良い影響・好循環をもたらします。大阪に限らず多くの自治体がセミナーなど認知症に関する取り組みを行っていますが、当社でも認知症予防に関する講演研修講師のご依頼をいただくことが増えています。

活躍機会を求めるシニア世代

高齢化が進む中で、働いているシニア世代の方もたくさんいらっしゃいます。
現状としてシニア世代の勤労意欲は高く、定年に達してもまだまだ働ける自信のある方、仕事を生きがいとしているシニア世代は珍しくありません。

独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が実施した団塊世代対象の就業意識に関する調査(※)によると、65~69歳まで働きたい方が36.5%、70~74歳までが29.8%、75歳以上(年齢問わず)が24.8%と回答しています。つまり、65歳を過ぎても働きたいと希望する方は9割を超えていて、今後も益々シニア世代の活躍が期待されています。

国としても、まだまだ働けるシニア世代が増えることは、税収面でのメリットが大きいため、長く働ける制度やシニア世代の採用に積極的な企業を優遇する制度を、整えていく方向に向かっています。


独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「団塊世代の就業と生活に関する意識調査 2013」

働く側のメリット、企業様にとってのメリット

シニア世代が長く働ける労働環境は、働いている方にとっても企業様にとってもWin-Winの関係性をもたらします。働いている方にとっては、いつまでも元気でいることで安定した所得を得られるメリットがあります。病気を患い介護が必要になってしまうと、個人にかかる経済面の負担が大きいため生活に不安を抱えてしまいますが、そうした心配が無くなるだけでも、生活に大きな影響があるものではないでしょうか。

企業様の立場から見ると、これまで多くの知識や経験を積んできたシニア世代が長く現場に残ることで、人手不足の解消となります。特に、多くの業界で現場と経営陣の間に立つマネージャークラスの人材不足が指摘されていますが、シニア世代が現場でそうした人材をサポート・育成することで、安定した人材確保が可能になるのです。そのため、多くの企業が高齢者雇用に取り組んでいます。

ある運送会社では、本人が希望する年齢まで雇用する形態を取っており、年齢に合わせた業務へ円滑にシフトできる体制を整えています。その結果、定年後でも年齢を感じさせないほどの働きぶりに、他の従業員が影響を受けモチベーションが高まったという事例もあります。また、製造業者では、高齢従業員が永年培ってきた伝統技術を若年従業員や中堅従業員へ丁寧に伝承できることは、優れた技術者の育成にもつながります。
このような活躍が期待されているシニア世代ですが、認知症を患うことが大きな弊害となっています。

個々の努力だけでなく、企業として従業員の認知症予防をバックアップすることで、優秀な人材が長く会社に貢献できる好循環が期待できます。働く側・企業双方にメリットの大きいシニア世代の認知症予防には、個人・企業双方から長く働ける人材でいるための働きかけが重要なのです。